賃貸物件の契約期間はなぜ2年?更新の流れや途中解約の可否も解説!

賃貸物件の契約期間はなぜ2年?更新の流れや途中解約の可否も解説!

賃貸物件を契約するときには、多くのケースで契約期間が2年に設定されています。
しかし、なぜ2年なのか、契約更新をするにはどうしたら良いのかなどの疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸物件の契約期間が2年に設定されている理由、契約更新・途中解約するときの手続きについて解説します。

賃貸物件の契約期間が2年に設定されている理由

賃貸物件の契約期間が2年に設定されている理由

賃貸物件の契約形態には、大きく分けて普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。
まずは、これらの契約形態の違いと契約期間が2年に設定されている理由について解説します。

普通借家契約と定期借家契約の違い

普通借家契約は、契約期間が終わったあとも更新が可能な契約です。
借主が希望すれば、引き続き同じ物件に住むこともできます。
一方で、定期借家契約は、契約期間が終わったら退去しなければならない契約で、原則として更新はできません。
大家さんと再契約の合意がない限り、同じ物件には住み続けられない点に特徴があります。

契約期間が2年に設定されている理由

賃貸物件の契約期間が2年に設定される理由のひとつとして、借地借家法の影響が挙げられます。
借地借家法では、「1年未満の契約は期間の定めのない賃貸借契約とみなす」と定めています。
もし、契約期間を1年未満に設定してしまうと、借主側がいつでも解約できるようになってしまい、大家さん側にとっては不利な条件です。
そのため、2年に設定されることが一般的です。
また、借主のライフサイクルも契約期間に影響を与える要因となっています。
たとえば、4年制の大学に通っている借主であれば、契約期間が3年だと利用しにくくなってしまいます。
社会人の転勤も2年サイクルであることが一般的であり、2年ごとの契約更新がちょうど良いと考えられているのです。

普通借家契約の更新に手続きや更新料は必要?

普通借家契約の更新に手続きや更新料は必要?

契約期間が終わっても住み続けたいときに、契約更新の手続きや更新料の支払いが必要になるのかといった疑問を思い浮かべるでしょう。
ここでは、契約更新の手続きの流れと更新料の有無について解説します。

普通借家契約が自動更新のときの手続き

賃貸物件によっては、契約が自動で更新されるところがあります。
自動更新のときには、契約期間が終わったあとに借主が手続きをおこなう必要はなく、引き続き住む意思を示せば契約が延長されます。
もし、退去を希望するなら、契約期間終了日の1~3か月前に大家さんへの通知が必要です。

普通借家契約が自動更新ではないときの手続き

自動更新ではないときには、契約期間終了日の1~3か月前に大家さんや管理会社から契約更新に関する通知が送られてきます。
借主が入居継続を希望するときには、更新書類に署名・押印したうえで指定期限までに返送すれば、契約が延長されるしくみです。
もし、退去を希望するなら、更新書類にはサインをせずに解約手続きを申し出ます。

普通借家契約の契約更新時に更新料はかかる?

普通借家契約の契約更新時に更新料がかかるかどうかは、契約内容や地域によって異なります。
たとえば、契約書に「更新料は家賃の1か月分」と記載されているときには、更新に際して定められた金額を支払わなければなりません。
更新料の相場はエリアによって異なり、たとえば北海道では家賃の0.1か月分、東京では家賃の1か月分、京都では家賃の1.4か月分が平均です。
ただし、大阪府や兵庫県など、普通借家契約の契約更新時に更新料の支払いが発生しないエリアもあります。
原則として、契約書に更新料の記載がある限り、支払いを拒否することはできません。
そのため、賃貸物件を借りるときには、契約書の内容にしっかりと目をとおしておくことが大切です。

定期借家契約の契約更新時に更新料はかかる?

定期借家契約では、契約更新の概念はなく、引き続き借りるときには再契約を交わす形となります。
借主が住み続けることを希望し、大家さん側がそれに了承したら再契約を交わしますが、そのときには再契約手数料がかかることを押さえておきましょう。

更新料以外にかかる費用

契約を更新するときには、火災保険料も更新料もかかります。
火災保険の契約も、2年であることが一般的なためです。
もし、保証会社を利用しているときには、契約更新のタイミングでこちらの更新料もかかる点を押さえておきましょう。

賃貸物件の契約期間が終わる前に途中解約は可能?

賃貸物件の契約期間が終わる前に途中解約は可能?

賃貸物件を借りているとき、何らかの事情によって、契約期間を迎える前に退去せざるを得なくなることがあります。
そのときには、途中解約は可能なのか、不安に感じている方もいるかもしれません。
ここでは、賃貸物件の契約期間が終わる前に途中解約は可能かについて解説します。

賃貸物件の途中解約は可能だが解約予告期間が設定されている

普通借家契約では、契約期間内であっても借主の都合で解約が可能です。
ただし、退去希望日の1~2か月前までに解約の申し出をしなければならないといった解約予告期間が定められているケースが一般的です。
こちらも契約書に具体的な解約予告期間が記載されているので、事前に確認しておきましょう。
解約予告期間によっては、退去日までに数か月分の家賃を支払わなければならないこともあります。
一方で、定期借家契約で賃貸物件を借りているときには、原則途中解約はできません。
もし、それでも途中解約を希望するときには、家賃数か月分の違約金を支払わなければならないこともあります。
なお、契約書に途中解約による違約金について明記されていないときには、原則支払う必要はありません。

解約手続きの流れ

契約期間満了前に賃貸物件を解約したいときには、まず契約書の途中解約に関する条項を確認しましょう。
そのうえで、解約予告期間までに大家さん、もしくは管理会社に退去届を提出して解約を希望する旨を伝えます。
退去日が決まったら、その日までに荷物の搬出や原状回復、電気・水道・ガス会社への転居手続き、住民票の転出届の提出などをおこないます。
賃貸物件を借りるときに加入した火災保険の解約手続きも忘れずにおこないましょう。
その後、退去日当日に不動産会社の担当者の立ち会いで部屋の状態を確認し、鍵の返却、敷金の精算をおこなって終了です。

大家さん側から解約の申し入れをされることもある

建物の老朽化にともなう建て替えなど、ケースによっては賃貸物件の大家さん側から退去を要請されることがあります。
このときには、解約予定日の半年前までに通知が届きます。
通知には、立ち退き料の金額や解約までの流れなど、さまざまなことが書かれているので、しっかりとチェックするようにしましょう。
なお、立ち退き料の相場は、家賃半年~1年分といわれていますが、法律で具体的に定められているわけではありません。
また、借主側に家賃滞納やペットの無断飼育など、契約違反に該当する行為が認められるときにも退去を請求されることがあります。

まとめ

賃貸物件の契約期間が2年に設定されている背景には、借地借家法による規定や借主のライフサイクルへの対応などの事情が潜んでいます。
普通借家契約では、借主が希望すれば、契約期間が終わっても引き続き住むことは可能ですが、更新料が発生するケースもある点に注意が必要です。
もし、契約期間が終わる前に賃貸物件を途中解約したいときには、契約書に定められている解約予告期間に合わせて解約の手続きを進めます。